大学生のみなさんは、学生起業という言葉を聞いたことはあるでしょうか？

学生起業とは、学生が在学中に自らビジネスを立ち上げることを指します。具体的には、学業と並行して新しいビジネスを企画・運営することです。

「学生起業って失敗したらどうなるの？」
「実際に起業するとしたら、どのような手順があるの？」

学生起業に興味を持っている大学生は、このようなお悩みを持っている方も多いはずです。

この記事では、学生起業のメリットや成功例について解説します。本文を参考にしながら、ぜひとも学生起業について検討してみてください。

学生起業のメリット3選

まずは、学生起業のメリットについて解説します。学生ならではの立場や状況をふまえて、起業するメリットを理解しましょう。

やり直しがきく

学生起業は、社会人と比べてリスクが低い点が大きなメリットです。学生であれば、生活費などの負担が少ないため、失敗しても再挑戦がしやすい環境にあります。

失敗しても大きな経済的損失が少ないため、次の挑戦へとつながる貴重な経験を積むことができるのです。もし失敗してしまったら、就職するという選択肢があることもメリットにつながります。

支援者を得やすい

学生起業は、大学や専門学校などの教育機関からの支援を受けやすいという利点があります。例えば、大学のスタートアップ支援制度を活用することで、資金援助や専門家からのアドバイスを受けることができます。

また、学生という肩書きは起業家のなかでも目立ちやすく、若者の将来性に価値を見出して支援してくれる経営者もいます。学生という立場は、周りから応援されやすいというメリットがあるのです。

就活で起業経験が高く評価される

結果的に就職するという選択をした場合、学生起業は大きなメリットになります。

起業経験は、就職活動において非常に高く評価されるポイントです。企業は、新しいアイデアを生み出し、ビジネスを実行に移すことができる人材を求めています。

学生時代に起業を経験したことで得られる知識やスキルは、一般的な学生にはない強力なアピールポイントとなります。起業経験を持つ学生は、就活において他の就活生との差別化が図りやすくなります。

学生起業のデメリット3選

次に、学生起業のデメリットについて解説します。学生ならではの立場や状況をふまえて、起業するデメリットを理解しましょう。

信用を得ることが難しい

学生起業家は、特にビジネス経験が浅いことから、投資家や取引先からの信用を得ることが難しいとされています。
相手の立場で考えると、経験豊富な社会人と比べて、経験不足な学生に対してはリスクが高いと感じることが多いです。

そのため、信用を築くには、実績を積み重ねたり、信頼できるメンターを見つけることが大切です。

学業との両立が難しい

学生起業は、学業とビジネスを同時に進めることを求められるため、時間管理が難しくなることもあります。
特に試験期間や課題が多い時期には、ビジネスに取り組む時間が確保できなくなり、どちらも中途半端になってしまうリスクがあります。
起業に集中するために、休学などの手段も視野に入れておくといいでしょう。

社会人と比べて経験不足

学生起業家は、社会人に比べてビジネス経験が少ないため、経営やマーケティング、交渉などの面で難しさを感じることが多いです。
独学で学んでいくことも可能ですが、長期インターンシップを検討してもいいでしょう。

長期インターンシップを通して、企業で実際に業務経験を積むことで、社会人に劣っている知識やスキルを補うことができます。

学生起業の成功例5社

学生起業の成功例を紹介します。事例から見えてくる成功要因について知ることで、起業する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

Gunosy

創業者：福島良典
創業時期：東京大学在学中（2012年）
概要：ニュースキュレーションアプリ「Gunosy」を開発。個々のユーザーに合わせたニュースを配信するサービスで成功し、現在は東証一部に上場。

Gunosyの成功の背景には、スマートフォンの普及とニュース消費の変化がありました。ニュースがインターネット上に氾濫する中、個々のユーザーにパーソナライズされたニュースを届けるアルゴリズム技術が高く評価されています。創業者は、大学で培った知識を活かして、効率的にニュースをキュレーションするシステムを開発。また、東京大学というブランド力を背景に、投資家やメディアの注目を集め、迅速な資金調達が可能となりました。この技術力とメディア戦略の組み合わせが、Gunosyの急成長を支えました。

Wantedly

創業者：仲暁子
創業時期：京都大学在学中（2010年）
概要：ビジネスSNSとして企業と求職者をマッチングさせる「Wantedly」を運営。企業文化やビジョンを重視した採用プラットフォームとして人気を博し、成長。

Wantedlyは、従来の求人サイトとは異なり、企業文化やビジョンを重視した採用プラットフォームとして差別化を図りました。創業者の仲暁子氏は、企業と求職者のマッチングにおいて、単なるスキルや経験だけでなく、企業の文化や価値観にフィットすることが重要だと考え、これをコンセプトにサービスを展開しました。さらに、SNSの機能を活用して求職者と企業が気軽にコミュニケーションを取れる仕組みを作ったことも、成功の要因です。これにより、企業と求職者の双方にとって魅力的なプラットフォームを実現し、利用者を急速に拡大させました。

メルカリ

創業者：山田進太郎
創業時期：早稲田大学在学中に起業（2013年）
概要：フリマアプリ「メルカリ」を開発。手軽に商品を売買できるプラットフォームとして、日本国内外で急成長し、上場を果たした。

メルカリの成功は、スマートフォン時代のニーズに応じた「手軽さ」を追求した点にあります。創業者の山田進太郎氏は、スマホで簡単に商品を売買できるアプリを開発し、個人間取引の障壁を大幅に下げました。また、出品や購入の手続きがシンプルであることが、幅広いユーザー層を引き付けました。さらに、積極的なマーケティング戦略と、迅速な海外展開（特にアメリカ市場への進出）が、事業の急成長を後押ししました。ユーザーエクスペリエンスの改善に注力したことも、メルカリが競合他社との差別化を図る要因となりました。

SmartHR

創業者：芹澤雅人
創業時期：慶應義塾大学在学中（2013年）
概要：クラウド型の人事・労務管理システムを提供する企業で、従業員管理や給与計算を効率化するサービスとして多くの企業に採用され、成長。

SmartHRは、日本企業が抱える労務管理の煩雑さを効率化するという、明確なニーズに応える形で成功を収めました。創業者の芹澤雅人氏は、クラウド技術を活用して、人事・労務管理業務を大幅に簡素化するサービスを開発しました。このような効率化のニーズは中小企業を中心に高く、ターゲット市場を絞った戦略が功を奏しました。また、法改正などの制度変更に迅速に対応できる機能も強みとなり、多くの企業に採用されました。さらに、シンプルで使いやすいUI/UX設計も、ユーザーからの高評価を得た要因です。

nanapi

創業者：けんすう（古川健介）
創業時期：早稲田大学在学中（2007年）
概要：生活情報をまとめた「nanapi」を運営。役立つ生活の知恵を提供するウェブサイトとして広く認知され、後にKDDIに買収される形で成功を収めた。

nanapiの成功は、生活に役立つ情報を手軽に検索・利用できるプラットフォームを提供した点にあります。創業者のけんすう氏は、生活者が日常的に抱える小さな悩みを解決することに焦点を当て、その情報を誰もがアクセスしやすい形で提供しました。コンテンツの質と量を充実させることで、検索エンジンでの評価も高まり、ユーザーを効率的に集めることができました。さらに、スマートフォン普及時に迅速に対応し、モバイル向けの最適化を進めたことも、利用者の増加に貢献しました。最終的に、KDDIによる買収を通じて、さらに大規模な展開が可能となったことが、nanapiの成功を確実なものとしました。

学生起業のやり方

学生のうちに起業したいと思っても、具体的なやり方が分からず困っている方も多いのではないでしょうか。基本的な学生起業のやり方は、以下の通りです。

アイデアの発案とリサーチ

自分が情熱を持てる分野や問題を見つけ、それを解決するビジネスアイデアを考えます。
具体的には、自分の興味やスキルを振り返り、解決したい社会的な課題やニーズを見つけましょう。また、競合他社や市場の動向をリサーチし、アイデアが市場で通用するかを検証します。

ビジネスプランの作成

ビジネスの方向性や戦略を明確にするための計画を立てます。
具体的には、ビジネスモデルキャンバスやビジネスプランを作成し、提供する商品やサービス、ターゲット市場、収益モデル、マーケティング戦略などを整理します。また、必要な資金やリソースの見積もりも行います。

資金調達

ビジネスを始めるための資金を集めます。
具体的には、自己資金の確認や、親族・友人からの支援を検討してみましょう。それ以上の金額を求める場合には、クラウドファンディング、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルなどの外部資金調達方法も模索します。必要に応じて、ビジネスコンテストに参加して賞金を狙うことも一案です。

プロトタイプの作成とテスト

商品やサービスのプロトタイプを作り、ターゲットユーザーにテストしてもらい、フィードバックを得ます。
具体的には、最低限の機能を持つプロトタイプを作成し、実際のユーザーに試してもらいます。フィードバックを基に、商品やサービスの改善を行い、マーケットフィットを目指します。

起業と事業展開

事業を正式にスタートさせ、成長を目指します。
具体的には、会社設立や税務登録などの必要な法的手続きを行い、事業を正式に開始します。そこから、マーケティングや営業活動を本格化させ、初期の顧客を獲得しましょう。また、得られたデータを基に事業計画を修正し、成長戦略を立てていきます。

まとめ

今回は、学生起業のメリットや成功例、具体的な手順について解説しました。
学生起業は、成功しても失敗しても、自身の成長に大きくつながる経験です。社会人と比べてリスクの少ない学生だからこそ、起業する価値は大いにあるでしょう。
もし、何も知識がない状態で起業することに不安がある大学生のみなさんは、長期インターンシップなども検討してみてください。

実際の企業で業務経験を積むことができれば、知識やスキルを得るだけでなく、働くことに対する解像度も高まるでしょう。
学生起業に興味がある方は、まだやり直しがきく今のうちに、ぜひとも挑戦してみましょう。応援しています！